すんきの材料

  • すんき漬けの材料となる野菜は木曽地方に古くから伝わるアブラナ科の「赤かぶ菜」です。
  • 正確には主に赤かぶ菜の葉柄の部分を使います。場合によってはかぶの部分も一緒に漬けることがあります。
  • 木曽地方の赤かぶとして多く作られているものは、(1)王滝の「王滝かぶ」、(2)開田の「開田かぶ」、(3)三岳の「三岳黒瀬かぶ」、(4)木祖の「細島かぶ」の4種類です。その他に、(5)上松の芦島かぶ、(6)上松の吉野かぶ も作られています。

赤カブの種類

(1)王滝甘かぶら (王滝村)
王滝甘かぶら

蕪は、丸形 肉質は緻密で軟らかい。
葉は、なめらかで、葉縁の切れ込み小。

(2)開田かぶ (木曽町開田高原)
開田かぶ

蕪は、扁平形 肉質は緻密でやや固め。
葉は、凸凹が見られ葉縁の切れ込みは大。

(3)三岳黒瀬かぶ (木曽町三岳)
黒瀬かぶ

蕪は、短円錐形 肉質は緻密で固め。
葉は、表面がなめらか。
葉縁の切れ込みあり。

(4)細島かぶ (木祖村)
細島かぶ

蕪は、長円錐形 肉質は緻密でやや固め。
葉は、表面がなめらか。葉縁の切れ込みあり。

(5)芦島かぶ (上松町)
芦島かぶ

蕪は、形状が丸三角型。蕪表面に横にすじが入る。
葉は、短く重量あり。

(6)吉野かぶ (上松町)
吉野かぶ

形状は円錐形~大根型、根の下部は淡くなり曲がる。蕪は、やや柔らかい。葉縁は鋸歯状、葉柄はやや細く、葉身は葉柄の下部にはついていない。

  • これらの系統は木曽地域各地で何百年も脈々と栽培されてきました。しかし、他家受粉で交配しやすいアブラナ科の植物ですので、近年、人の交流とともに徐々に交配が進み、それぞれのもつ形質が混ざり合ってきてしまったたため、木曽農業改良普及センター、信州大学農学部大井教授らにより、本来の形質に戻そうという取り組みも行われています。
  • 赤かぶの他に材料として、野沢菜、大根葉、白菜等を使う人もいます。

すんきの種(タネ)

すんき作りには、「すんきの種」が必要です。
種として利用するものは、次の4種類です。

(1)すんき干し(前年のすんきを乾燥させたもの)
(2)前年のすんきを冷凍したもの
(3)前年のすんきの汁を冷蔵したもの
(4)山の木の実類(ズミ・山葡萄など)

  • (1)~(4)を単独または組み合わせて使います。
    全く種を使わないで作る方もいます。
  • 一般には、良い種を使うと良いすんきができます。
    良いすんきとは、酸味がありまたその中に旨みのあるものとされています。良いすんきを数回繰り返して作った時、乳酸菌の活性が高まり、良い種となります。
  • すんきの種に含まれる乳酸菌には複数の菌が関与しており、それがすんきの味を作り出します。ですので、使う種によって出来たすんきの味にも微妙に差が出ます。
干しすんき

すんき干し

ずみの実

ずみの実

ずみを使ったすんき

ずみを使ったすんき


※資料提供:木曽すんき研究会・木曽農業農村支援センター(旧木曽農業改良普及センター )